「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただひとつの道だ」
イチロー(野球選手) 2004年
頑張らない戦略
野球のイチロー選手は、
「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただひとつの道だ」という言葉を残しています。
これは、大きな目標(とんでもないところ)を達成するためには、
日々の最小目標(小さなこと)を確実に実行し続けることの重要性を説いています。
偉大な結果を残したスポーツ選手の言葉は、説得力があり胸に響きますよね。
でも、なぜ「小さなこと」と言ったのでしょうか?
というのも、
「毎日全力で頑張ることが、とんでもないところへ行くたたひとつの道だ」
とも言えたはずだからです。
我々は、結果を出す一流の人達が、
死に物狂いで毎日頑張って努力を重ねていることを想像してしまいます。
当然ながら、それを一切否定することはできません。
成功には努力が不可欠で、多くの成功者は他人よりも何倍も努力していることでしょう。
イチロー選手の「小さなこと」は、普通選手の「大きなこと」なのかもしれません。
しかし、イチロー選手は「小さなこと」と言いました。
それは察するに、努力の大きさよりも
「継続」を重要視していたからではないでしょうか。
毎日全力で頑張って、それを達成するのは至難の業です。
例えるならば、
マラソンの42.195kmを、100m走のペースで走りきれる人はいません。
なのに、我々は長期目標のための短期目標を全力で取り組もうとしてしまいます。
人が叶えたい目標のほとんどは長期的なものです。
(志望校合格、ダイエット、マラソン完走、貯金100万円、運命の人との結婚…。)
習慣化するには、「毎日全力で頑張らないといけない」
という思い込みをまずは捨てましょう。
習慣化は「継続」が最優先です。
そのためには、毎日小さな目標を達成し続けることが重要です。
できっこない過大な目標を立ててはいけません。
頑張らない戦略で頑張りましょう。
人は空を飛べない
それに、毎日全力で頑張ることには、あまり意味がありません。
人間の機能には制限があるからです。
人間が1日で記憶できること、栄養を吸収できる量、筋肉を作る量、などには限度があります。
1夜漬けで勉強しても翌日の記憶定着率は、約26%であることが研究で明らかになっています。
薬を沢山飲んでも風邪は治らないし、健康食品を大量に食べても健康にはなりません。
筋トレやランニングを限界以上に追い込んでも、1日で成長できる筋肉量は限度があります。
1日にできることは、これらの制限に置かれることを常に意識しなければいけません。
「限界なんて存在しない!」とか「限界まで追い込まないと意味ない!」などと、
鼻息荒い方法論を唱える方もいますが、
それは、人間に意思や根性で空を飛べと言っているようなものです。
とても現実的な話ではありません。
そこで、現実的な方法として、
「目標を最小化して、嫌になる直前まで頑張る」というのはどうでしょう。
例えば、
・腕立て伏せを1回以上やる。
・本を1ページだけ読む。
・5分だけ早起きしてみる。
できなかった自分に自己嫌悪を抱くと、自己肯定感が低下し、習慣が途絶えます。
先に述べましたが、習慣が良い体験と結び付かなければ、習慣化は難しくなります。
嫌と感じる習慣を続けることは困難だからです。
継続こそが大事であり、1日のパフォーマンスにこだわる必要はありません。
自分にとってちょうど良いバランスの目標に最小化しましょう。
最低1回、1ページ、1分でも問題ありません。
いずれにせよ、0よりも数万倍はマシです。
そして重要なのは、
いかに忙しくても、体調が悪くとも、雨が降っていようとも、最低1回は必ず実行すること。
「0にしない」ことが最も重要です。
火種があれば、火はまた燃え上がります。
習慣も途絶えさせなければ、また熱を取り戻せるはずです。
空を飛べないなら、1回だけジャンプしよう。
ただし、調子に乗ってはいけない
やる気がある時って、限界まで頑張ってしまいがちですよね。
やる気も体力もあるのに作業を途中で中断してしまうのは、
サボってしまっている気がしたり、
「もっとやれたのに!」、と不完全燃焼のような気持ちになってしまうのは当然です。
しかし、習慣化するためには、
限界まで頑張ることをやめ、
1日の作業の上限を定めることが有効であると知られています。
例えば、『スタンド・バイ・ミー』・『グリーン・マイル』など
数々の名作で知られるスティーヴン・キングという作家は、
50年以上300冊以上の作品を執筆している、習慣化の鬼ともいえる作家です。
彼は、一日に2000語という目標を立て、それを達成したら執筆を終えるというルールを設けています。
このルールが、彼の驚異的な作品数と長年にわたる創作活動を支えている一因と考えられます。
この作家に限らず、ヘミングウェイなどの著名な作家も
同じく1日の創作活動に上限を設けていますが、
いったいなぜ、「頑張らない」のでしょうか?
理由は様々あると思いますが、以下に考えられる要因を挙げてみましょう。
- 心理的リアクタンス
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自分の自由な選択や行動が外部から制限されたり脅かされたりしたときに、それに反発して自由を回復しようとする心理的な働きのこと。禁止されることで、その行動がより魅力的に見え、自分の意思で行動したいという欲求が強まるのです。
例えば、親に「勉強しなさい」と言われるとやる気がなくなる一方で、「もう勉強はやめなさい」と言われると、かえって勉強したくなるのがこの一例です。 - ツァイガルニク効果
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人は「完了した課題」よりも「中断された未完了の課題」の方をよく記憶しているという心理現象(ツァイガルニク効果)があります。 ヘミングウェイのように、あえてキリの悪いところで作業を中断することで、脳は無意識のうちに次の展開を考え始め、翌日の創造的なプロセスを助ける効果が期待できます。
- 燃え尽き症候群
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調子が良いからといって1日のエネルギーを使い果たしてしまうと、翌日以降に深刻なスランプに陥る「燃え尽き症候群」のリスクが高まります。上限を設けることは、エネルギーを平準化し、持続可能な執筆活動を可能にするための重要なリスク管理と言えます。
- 認知機能と休憩
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長時間の集中は、脳の認知機能を低下させます。定期的な休憩や、一日の活動に上限を設けることは、脳をリフレッシュさせ、新たなアイデアが生まれる「デフォルト・モード・ネットワーク」という脳活動を活発にすると言われています。執筆から離れることで、かえって創造性が高まるのです。
どうでしょうか?
数々の効果が、「頑張らない」ことの重要性を示しています。
習慣は長期戦であり、マラソンによく例えられます。
100m走のペースで42.195kmを走れないように、
1日の限界まで追い込む努力を、何年も継続はできないでしょう。
人は、頑張りすぎると、頑張ったことに満足してしまうのです。
「今日の自分はよく頑張った」と。
その達成感は別に悪くないのですが、
本来は、成果に対して達成感を感じなければいけません。
だって、何も達成していないのだから。
頑張らないことは決して悪いことではありません。
悪いのは頑張っている自分に満足してしまうことです。
本来達成すべき目標を忘れて努力に酔いしれることです。
もし、習慣を身につけ、長期的に達成したい目標があるのであれば、
上限を決めるべきです。
燃え尽きずに、明日にエネルギーを持ち越し、
明日の自分にバトンを渡すのです。
「今日はここまでやったから明日はここからお願いね」と。
決して、
「今日できることは全てやり切った。明日はもうやることはない。」と
明日の自分の仕事を奪うようなことはしてはいけません。
調子に乗らずに軌道に乗りましょう。
時間に縛られたくなければ、時間を縛る。
1日の作業の上限を定めることに併せて、
時間に対する大事な考え方があります。
時間に縛られたくなければ、時間を縛りましょう。
例えば、労働時間が8時間であれば、
「8時間もある、ではなく8時間しかない」と考えるのです。
「早く仕事が終わらないかなぁ〜」と考えて過ごす時間は拘束時間です。
「8時間でどのように仕事を片付けられるかな?」と効率的に過ごす時間は自由時間です。
時間に追われているのか、時間を追っているのか。
時間に縛られているのか、時間を縛っているのか。
自分で時間の主導権を握らなければ、あなたは時間の奴隷となってしまいます。
習慣というのは、あなたが選択した自由な時間のはずです。
なのに、いつの間にか
「今はランニングをしないといけない時間」
「読書・勉強をしないといけない時間」となり、
いつしか「〇〇しないといけない時間」という
拘束時間と成り果ててしまってはいないだろうか。
当たり前ですが、拘束される時間というのは
人にとって苦痛です。
そんな習慣が続くわけもありません。
時間の上限を定めて、その貴重な時間を愛しましょう。
習慣をダラダラと過ごすのはもったいないです。
「少し短いかもしれない」というくらいの時間で、
最大限のパフォーマンスを発揮するのです。
紛れもなく、あなたが選択して始めた習慣なのだから、
その習慣に拘束されてはいけない。
習慣に上限を設けて、その時間を貴重な時間を愛することができれば、
その習慣は輝き始めます。
あなたは習慣を愛していますか?
複利を信じる
このように目標を最小化し、頑張らない戦略の話をすると、
「そんな目標だと、成果なんて出ないんじゃないか?」と心配になると思います。
気持ちはとてもよくわかります。
毎日腕立て1回ではムキムキマッチョマンにはなれないでしょう。
しかし、我々には、
アインシュタインが人類最大の発明と称した「複利」を利用できます。
複利とは、元本(もとになるお金)に利息を加えた合計額に対して、次の利息がつく仕組みのことです。
これを自己成長の分野に応用すると、
毎日1%の成長をしていくだけで、数年後には飛躍的に成長することが見込めます。
ジェームズ・クリアー氏のベストセラー『複利で伸びる1つの習慣』では、
「毎日1%の成長を1年間続けると、元の状態から約37倍に成長する」という有名な計算が紹介されています。
これがまさに、
日々の小さな積み重ねが大きな成果につながるという複利効果の力です。
毎日1%の成長だけで良かったのです。
毎日100%の力は要らないのです。
小さい目標をコツコツと毎日達成していくことで、
複利という発明の効果を最大限得ることができます。
例えば、雪山の頂上から雪玉を転がすことを想像してください。
転がる度に大きくなっていき、やがて巨大な雪玉と化します。
これがまさに複利なのです。時間はかかりますが、
転がるように簡単に着実に大きくなっていくのです。
1%の成長というのは抽象的でわかりづらいですが、
難しく考える必要はありません。
1日の始めに、昨日より改善できるポイントを考え実行し、
寝る前に成果を確認することを繰り返していけば良いのです。
例えば、こんな風に。
- 筋トレの成果が出ないので食事の内容を変えてみる。
- 乾燥しているので加湿器を稼働してみる。
- 最近首が痛いので、枕の高さを調整してみる。
- 家具の配置を見直して、断捨離してみる。
- 家族との関係をより良くするために、毎日感謝を伝えてみる。
人によって、改善できるポイントは様々です。
自分の健康に対して何を改善できるか、
どうすれば効率的に時間を有効活用できるか、
大切な人との関係をもっと良くするために何ができるかを考えてみましょう。
ほんの些細なことで良いのです。
なにか少しだけストレスを感じることや、
気分が上がることを見つけて取り組みましょう。
今日から1%成長できますか?
shinいよいよ最後のステップです!
成果を記録するのはとっても大事なんです!






