「測定できないものは、改善できない。」
ピーター・ドラッカー(Peter F. Drucker, 経営学者)
目に見える進捗がやる気を維持する
人間は、成果が見えないとやる気を失います。
いくら勉強してもテストで良い点を取れない、
いくら運動しても痩せない、
いくら仕事を頑張っても評価されない。
そんな状況で頑張れる人はどれほどいるでしょうか。
たいていの人は、「もう頑張るのやめよ!」と、
努力を放棄して、楽になろうとするでしょう。
しかし、もし進捗が目に見えたらどうでしょうか?
今日の勉強ではこれを覚えた、
今日の運動は前回よりも1回多くできた、
今日の仕事は、前回よりも早く終わらせた。
少しでも、毎日目標に近づいていることが目に見えれば、
人はモチベーションを維持し、行動を強化することができます。
例えば、
アメリカ建国の父の一人であるベンジャミン・フランクリンは、
自身の自伝の中で、「13の徳目」を定め、
毎日それを実践できたかどうかを記録し、可視化していたことを記しています。
この日々の記録と反省は、彼の自己改善の習慣を支える強力なツールとなっていたそうです。
他にも、
ドラクエのようなRPG(ロールプレイングゲーム)のレベル上げが続くのは、
経験値という目に見えて貯まるポイントがあり、
次のレベルまでどのくらい貯めれば良いかがハッキリと分かるからです。
「レベルが上がるかわからないけど、スライムを1,000体倒してください」
というゲームであれば、皆コントローラーを投げ出すでしょう。
継続というのは記録にかかっています。
今日は何をどれくらいできたのかを記録することは、
継続にとって想像以上に効果があります。
記録方法は「日記の書き方」や「モーニングページ」など、
様々な文献で紹介されているので、参考にしても良いですが、
大事なのは自分に合った方法で記録することです。
特に事細かく記録する必要はありません。
記録をめんどくさいと思ってしまえば、習慣に悪影響を及ぼします。
記録はあくまで習慣のための補助であって、目的ではありません。
自動で記録できるものは自動で記録し、
手動で記録するものは出来るだけ簡単にしましょう。
例えば、こんな風に。
- ダイエット:毎日同じ時間に体重計に乗り、健康管理アプリで記録する。
- 筋トレ:回数や時間を記録する。写真を撮って筋トレ前の写真と比較する。
- ランニング:タイムや距離を記録する。スマートウォッチで記録するのは効果絶大です。
- 読書:読んだページ数や時間を記録する。読んだ本を本棚に埋めていく。
- 貯金:家計簿アプリで収支を記録する。給料日に目的別口座に自動振替する。
- 勉強:学習時間の記録をつける。小テストを小まめに行う。
記録し、過去の自分の努力や成果が可視化された時、
小さな達成感があなたの背中を押してくれます。
「少しずつだけど、前に進んでいるな」と。
あなたは知らぬ間にレベルアップしているのです。
でも、記録していなければ、それを知ることはできません。
あなたは自分のレベルアップしている音が聞こえていますか?
成果はおまけです。
あらかじめ、はっきりさせておかなければいけないことがあります。
成果というのは簡単には得られません。
難しいことに挑戦しているなら尚更です。
記録を続けていても、すぐに結果が出ることは少ないでしょう。
最初は結果が出ない状況で、ただ黙々と記録を続けることになります。
ですが、いずれ記録が積み重なり、
自身が獲得してきた経験値が可視化され、
これまでの習慣で着実に進んでいる実感を持つことができれば、
先に述べた複利を利用して、いずれ長期的な成果が望めるでしょう。
すぐに成果を得ようとする人がどうなってしまうかは、
皆さんも心当たりがあるはずです。
短期間で痩せようと、無理な食事制限と過度な運動をして身体を壊してリバウンドしたり、
株やFXのデイトレードでギャンブル的な取引をして、
膨大な借金を抱えてしまったりする人がいることを思い出してください。
短期間で成果を出そうとするのは、「最悪の戦略」です。
何故最悪かといえば、
- 競争優位性がない(誰でもできてしまう)
→1日だけ頑張れる人は多いですが、1年間頑張れる人は少ないです。
例えば、短期間で習得できる資格やスキルを持っていたって、誰でもすぐに
習得できるわけですから、それは市場では評価されないですし、自分にとっての宝物にもなり得ません。 - いつでも出来ると勘違いしてやらない
→「本気出せば」いつでも痩せられるから、「本気出せば」いつでも大金を稼げるから。
本気を出せばいつでもあっという間に成果を上げられるからと、
口だけ達者で、一向に行動に移さない人を見てあなたはどう思うでしょうか。 - 継続性がない
→短期間で成果が得られると、習慣として身につく前にやめてしまいます。
価値のあるのは習慣であって成果ではありません。成果を重視しすぎて習慣を軽視してはいけません。
定期的な運動習慣・適切な食事制限がダイエットの価値であり、体重の減少には価値はありません。 - リスクが高い
→短期間で事を成そうとすると、
ダイエットであれば、無理なカロリー制限や糖質制限を行って身体を壊すこともあるし、
投資であれば、ハイレバレッジの金融商品に手を出して、短期間で資産を半減してしまうかもしれません。
もし、成功すれば得られるものも大きいですが、失うものも大きすぎます。
成果は「果実が成る」と書いて成果です。
しかし、果実を早く収穫しようと、
苗に水をありったけ注いでも、腐るか枯れてしまうでしょう。
これは自然の摂理であり、当たり前のことです。
当たり前のことですが、人間の欲望は愚かで凄まじく、
ヒト科のホモ・サピエンスは例外だと勘違いしてしまうようです。
SNSで流行っているのは、
「超短期間で圧倒的な成果を上げる裏技」
「生産性を爆上げする神アイテム」
「〇〇するだけで今すぐ激痩せ」など、
すぐに成果を得ようとする人が飛びつくようなものばかりです。
生産性を上げたり、時短に気を使うことは大事ですが、
価値のあるのは習慣であって成果ではありません。
毎日コツコツと勉強している勤勉を愛してください、テストの点や合否に価値はありません。
毎日お弁当を作ってくれる愛情に感謝してください、弁当の見栄えや味は重要ではありません。
毎日遅くまで働いている労働を労(ねぎら)ってください、年収や役職はあなたの価値ではありません。
習慣を愛せば、こんなにも毎日が愛おしく感じることはありません。
少しずつ成長していく自分を楽しみましょう。
サンクコスト(埋没費用)を埋める
人間には、費やしたコストが多ければ多いほど、後に引けなくなる心理があります。
これを、心理学では「サンクコスト効果」と呼びます。
例えば、映画のチケット代を払ったからと、つまらない映画を見続けたり、
失敗することが明らかなプロジェクトに、
「ここで辞めるのはもったいない」と追加投資を続けたりすることです。
「あと10万円あれば取り返せるから」と負けを認めないギャンブル中毒者も典型的な例です。
ヒトというのは自分の失敗を簡単に認められないものです。
認められない人は、いつまでも失敗に時間とコストを費やし、
人生と精神をすり減らしていくことになります。
それがサンクコスト効果の怖さでもあります。
しかし、これは必ずしも悪い効果だけとは限りません。
失敗に対していつまでも依存することは良くないことですが、
成功に必要な努力に対して依存することは、決して悪くはないのではないでしょうか。
例えば、毎日受験勉強を頑張ってきた受験生が、
「これまで青春を我慢して頑張ってきたのだから!」と、
自分を奮い立たせて受験勉強に更に力を入れることは、
別に悪いことではないでしょう。
習慣においては先に記したとおり、
毎日記録を続けることで、自分が費やした時間や労力というコストを再認識できます。
この「記録」が積み重なるほど、
「これだけやったのだから、もうやめるわけにはいかない」という心理が働き、
習慣を継続せざるを得なくなります。
つまり記録とは、努力の軌跡であり、依存を生み出す装置でもあるのです。
ギャンブル中毒者はよく
「あの時やめておけばよかった…」と嘆きます。
実際はそこで簡単にやめられることはありませんが、
後には引けなくなるこの地点を帰還不能点と言います。
帰還不能点を超えてしまえば、もう後には戻れません。
戻れないのなら、前に進むしかありません。
いわゆる背水の陣という戦略です。
習慣においても、この帰還不能点を超えてしまいましょう。
退路を断ち、自らの目標に集中することができます。
やると決めた習慣なのですから、やめる必要がありません。
帰還不能点を越えるための具体的なテクニックとして、
先行投資するのも手段でしょう。
運動ならば、ジムを契約して先にお金を払ってしまう。
ランニングならば、まずマラソン大会にエントリーしてしまう。
勉強ならば、通信講座や学校に入学する。
料理ならば、食材をまず買ってしまう。
ブログなら、まずドメインを取得する。
お金を先に払ってしまえば、
日本人の特殊能力である「もったいない」が発動し、
途中でやめてしまうのを躊躇うことができます。
余談ですが、数十万円もする婚約指輪を恋人がせがむのは、
「これだけお金がかかるのだからこの愛は本物に違いない」と、
信じ込ませるためなのです。
結婚式・ドレス・結婚指輪…。
後に引けなくするために、あらゆる高額な儀式によって愛は保たれます。
一生ものの愛が欲しいならそれなりの対価を支払わないといけないのです…。
サンクコストというのは、
「埋没」費用なので、普段は埋もれて隠れているコストです。
しかし、あらゆる物事を冷静に見回してみると、
大半がこのサンクコストに縛られていることがわかります。
高かったからという理由で、
処分できない服やカバン、家具、電化製品が目の前にあったり。
こんなに長く勤めたからと、転職を躊躇ったり、
長い時間ずっと一緒にいたからと、
悪い人間関係を切れずにいたりしませんか?
依存は成長を阻害します。
サンクコストが依存の原因となっていませんか?
悪い習慣に関連するものは全て捨てましょう。
それは、あなたの人生の足を引っ張る重荷です。
良い習慣のために先行投資しましょう。
それは、あなたの背中を押すエンジンです。
サンクコストに埋められてはいけません。
サンクコストは、未来のために埋めるものです。
shinお疲れ様でした!
習慣化のためのヒントは見つかりましたか?
最後に伝えたいことがあるので、
まとめを読んでね!





