「我々自身は繰り返し行っている行動により作られる。
アリストテレス(Aristotle, 哲学者)
したがって、優秀さは行動ではなく習慣によるものだ。」
退屈なルーティン
作家の村上春樹は、
執筆期間中は毎日決まった時間に起き、決まった時間だけ執筆し、
その後ランニングをするという厳格なルーティンを維持しているそうです。
これに限らず、クリエイティブな仕事をするプロフェッショナルは、
もれなく独自のルーティンを毎日こなしています。
何故、プロフェッショナルは
退屈ともいえる同じ作業行程を繰り返すのでしょうか。
それは、「今日は何をやろうかな」と考えてから毎日をスタートするのは、
あまりにも時間と意志力の無駄使いだからです。
朝の時間は1日において、最も頭がクリアで集中できる状態であり、
クリエイティブな発想をするのに最も適した時間とされており、
とても貴重な時間です。
そのとても貴重な時間を、
やるべきことを考える時間から始めるのはもったいないです。
それは、冒険する前に地図から描き始めるようなものです。
地図ならGoogleマップを開いて、さっさと冒険を始めてしまうべきです。
「モーニングルーティン」という言葉は、現代では一般的になりましたが、
あらかじめ、毎日のやるべきタスクをルーティンに固定化しておきましょう。
そうすれば、朝何をしようか考える時間も意志力も要さず、
川の流れのように澱みなく1日をスタートさせることができます。
例えば、朝7:00に起きたら、
- 寝室のベッドメイキングをして、
- 台所でコップ1杯の水を飲み、
- 部屋のカーテンを開けて陽を浴び、
- 窓を開けて新鮮な空気で1分間深呼吸、
- リビングでストレッチや筋トレを10分間行ない、
- 洗面所でコールドシャワーを浴びてスッキリする、
- 最後はお気に入りのコーヒーをダイニングで飲んで15分読書をする…。
ポイントは、
いつ・どこで・何を・どのくらい・どのようにやるか(5W1H)を明確にすることです。
そこがぼんやりしていると、考える隙ができてしまい、
時間と意志力を無駄に消費してしまうので注意が必要です。
良い習慣をルーティンに組み込めば、
毎朝何をしようか考えなくとも、無意識に
「これをやったら次はこれをやる」とテンポ良く
自動的にタスクをこなせるようになります。
しかし、考えることもなく
機械的に毎日同じ行動を繰り返すのは、
とても退屈なことです。
人間は機械ではないので、
毎日全く同じ行動を取っていると、飽きてしまいます。
そんな時は少しだけ変化を加えましょう。
上記の例で言えば、コーヒーの種類を変えてみたり、
部屋の模様替えをしてみたり、ランニングのコースを変えてみたり、
ストレッチや筋トレのメニューを変えてみたりしましょう。
思わぬ変化や気付きを得られますし、
大事なルーティンを維持することができます。
退屈なルーティンは、
退屈ではないところへ連れて行ってくれます。
トリガーを引け
そもそもルーティンとはなんでしょうか。
なぜ、個々の独立した行動が一連の行動となり、
「ルーティン」といった言葉で置き換わるのでしょうか。
それには、トリガー(引き金)というルーティンの秘密が関係しています。
パブロフの犬という話はご存知でしょうか?
これは条件反射を説明する有名な実験ですが、
食べ物を与える前にベルを鳴らされることが習慣となった犬は、
もはや食べ物が出てこなくとも、ベルが鳴らされた段階で
条件反射的にヨダレを垂らすという結果が観察されました。
ベルがトリガーとなり、ヨダレを垂らすという行動を無意識に引き出し出すようになったのです。
この実験は人間を含めた動物の学習行動を理解するのに役立ちます。
人間も何らかのトリガーによって無意識的に行動を促されていることがあります。
例えば、
自衛隊員の方は、たとえ深い睡眠に入っていたとしてもラッパの音が聞こえると飛び起きるそうです。
他にも、カフェで読書する習慣がある人は、違う場所でコーヒーの香りを嗅ぐと読書したくなったり、
お酒を飲んだ後に喫煙する習慣がある人は、どこにいてもお酒を飲むと喫煙したくなります。
このように何かをきっかけに、違う行動を引き起こすことを、
「習慣のトリガー」と呼びます。
習慣のトリガーが引かれると、
もはや考える余地もなく、身体が勝手に動いてしまうようになります。
身に染みた経験や習慣というのは、良い意味でも悪い意味でも、変えにくいのです。
この習慣のトリガーは、ルーティンの構築の基本的な考え方となります。
先に挙げた例で言うと、
「ベッドメイキングすると水を飲みたくなる」
「1分間深呼吸したら筋トレがしたくなる」
「コールドシャワーを浴びたら読書をしたくなる」…。
といったような感じです。
前の行動が次の行動を引き起こし、連鎖していく。
これがルーティンの真骨頂です。
例えば、
歯磨きを「お風呂あがりのルーティーン」
に組み込んでいる人は、多いのではないでしょうか。
お風呂から上がってタオルで身体を拭き、着替えて髪を乾かし、歯磨きをする…。
歯磨きをしていないと、なんかモヤっとして気持ちが悪い…。
このような習慣が出来上がっているのであれば、
これは習慣のトリガーがうまく機能しているでしょう。
このように、良い習慣を
トリガーの技術を用いてルーティン化すると、
「めんどくさかった習慣」が
「やらないと気が済まない習慣」へと変化します。
例えば、「読書」をめんどくさい習慣として、
ルーティンにセットするとどうでしょうか。
先に述べた、報酬のセット化の技術を用いて、
コーヒーと読書を組み合わせてみます。
お気に入りのコーヒーは報酬でもあり、
読書を引き起こすトリガー(引き金)にもなります。
コーヒーの匂いを嗅ぐと読書がしたくなり、
コーヒーによって読書が素敵な体験になれば、
また読書をしたくなるという習慣の好循環が生まれます。
コーヒーに含まれるカフェインは覚醒効果や集中力を高める効果もあり、相乗効果が期待できます。
こんな風に、
ただルーティンを漫然とこなすのではなく、
トリガーや報酬を意識してルーティンを構築してはいかがでしょうか。
辛くて難しい習慣は続きません。
ルーティンも同じです。
ルーティンは、習慣を自動化するテクニックです。
出来るだけ簡単に楽しくすることで連鎖しやすくなります。
そして、ルーティンというのは繰り返せば繰り返すほど練度が上がり、
完成度が高まっていきます。
もはや息をするのに等しいレベルで習慣をこなせるようになれば、
いずれ果てしない境地に達していることでしょう。
トリガーはもう引かれているのです。
shin次は目標を最小化してみよう!
頑張ったら負けって本当かな?






