なぜ、歯磨きは習慣化できているのか?
「私たちの行動は周りの状況からではなく、私たち自身の選択によって決まる。」
スティーブン・R・コヴィー (作家)
本題に入る前に、
実はみんな、習慣化に成功している
とても良い習慣が一つあることに、気付いていますでしょうか?
それは、歯磨きです。
歯磨きは良い習慣の代表例であり、
ほとんどの人が習慣化できている数少ない習慣です。
厚生労働省の統計調査(令和6年)によると、
おおよそ97%の国民が毎日1回以上の歯磨きを行なっているそうです。
実は、これほど多くの国民が、良い習慣を成功させているのに、
なぜ、他の習慣は、身につけるのが難しいのでしょうか?
実は、ここに習慣化のヒントが隠されているのです。
つまり、歯磨きという習慣が成功できた理由を分析し、
他の習慣に適用することができれば、
それらの習慣も身につけることが可能であるということです。
例えば、
歯磨きはスッキリするという「報酬」があり、虫歯という「罰」があります。
歯ブラシと歯磨き粉だけでできる「簡単さ」があり、
朝ごはんを食べた後にすぐにやるという「ルーティン」もある。
「目標設定」も最小限で、
白い歯という「目に見える成果」がある。
要素を分解して考えると、
習慣化に必要な要素を全て満たしているのです。
つまり、習慣化に必要なのは、
これらの要素を意識して習慣に組み込むこと。
が重要になっていきます。
そして、全てを有効に取り入れることができれば、
歯磨きと同じように
97%の国民は習慣化に成功するでしょう。
それでは、これから一つずつ内容を解説していきます。
1.報酬性
「仕事と遊びを区別しない。ただ、好きなことをしているだけだ。」
デール・カーネギー(Dale Carnegie, 作家・教育者)
「ご褒美」をセットする
歯磨きは、一見すると単純でつまらない作業ですが、
何故か毎日欠かさずにできていますよね。
理由の一つは、「報酬」にあります。
歯磨きにおける
報酬とは何かといえば、「スッキリする」・「気持ち良い」という感覚です。
歯磨き粉にミントや人工甘味料が含まれるようになってから、
本来、苦くてつらい体験だった歯磨きが、甘くて快適な体験に変わりました。
一見すると、ただ歯磨き粉の味が変わっただけと思う方もいると思いますが、
報酬というのは、習慣化する上で欠かせない重要な役割を果たしているのです。
人間は、行動の結果としてポジティブな感情や感覚を得ると、
その行動を繰り返すように脳がプログラムされています。
簡単に言うと、「〇〇をしたらこんな良いことがあった!」という経験を、
何回も繰り返してしまうことです。
例えば、ギャンブルで当てた快楽を忘れられずに、
依存していくギャンブル中毒者が典型的な例です。
悪く言えば依存症状ですが、上手にこの性質を利用できれば、
良い習慣に報酬を結びつけて、習慣化しやすくすることができます。
この性質を応用した行動経済学の手法が、
テンプテーション・バンドリング(誘惑の抱き合わせ)です。
どういうことかというと、
その習慣自体を好きな習慣へと変えてしまったり、
全く別の好きな習慣と結びつけてしまえば良いのです。
そうすれば、つらくて大変だった習慣も、
好きでやめられない習慣へと変わっていきます。
例えば、以下のような実践例があります。
【テンプテーション・バンドリングの実践例】
- 食器洗い:とびっきり良い香りのする洗剤を使う。
- 勉強や読書など:カフェで好きな音楽を聴きながら、お気に入りのコーヒーを飲む。
- ランニング:好きなラジオを聞きながら走る。ランニング後に食べたいものを食べる。帰りに温泉に入る。
こんな風に自分へのご褒美があれば、
ちょっと頑張れそうな気がしてきませんか?
この手法を使った国レベルの成功例があります。
南アフリカのケープタウンで実施された「Hope Soap(ホープソープ)」プロジェクトです。
このプロジェクトでは、子供たちが魅力を感じるような、
おもちゃ(小さなフィギュアなど)を透明な石鹸の中に埋め込みました。
さらに、石鹸自体も子供たちが好む良い香りにしたのです。
この工夫により、子供たちは早くおもちゃを手に入れたいという気持ちから、
喜んで頻繁に手洗いをするようになりました。
結果として、この地域での呼吸器系疾患や下痢などの病気が大幅に減少したと報告されています。
あなたにとって大事なつらい習慣とはなんでしょうか?
どうすれば、その習慣を好きになれるでしょうか?
習慣というのは楽しくやらなければ続きません。
そして、何事も楽しくやっている人間は無敵です。
習慣化を邪魔するものを突破していけるほどの強い力になります。
習慣に報酬をセットし、習慣をまずは好きになりましょう!
shinでも、仕事を頑張るためにお酒を報酬にしたり、
ダイエットの報酬としてハイカロリーなお菓子を食べたら、
習慣の意味がなくなっちゃうから気をつけてね!
罰を与える
罰というのも、人間の行動を強制する手段の一つです。
例えば、歯磨きをしないとどうなるでしょうか。
歯に汚れが溜まり、口臭や虫歯の原因になります。
その結果、周りの人から嫌われて、社会的な評価も下がり、
美味しい食事を食べることも制限されてしまいます。
つまり、
「それをやらないと、どんな罰が待っているか」
が明確にイメージできていれば、
モチベーションに頼らずに
行動を矯正することができます。
歯磨きの場合であれば、罰はわかりやすいですが、
運動や勉強といったものであればどうでしょうか。
運動や勉強は、やらなくてもなんとか生きていくことは出来ます。
口臭や虫歯ほどの明確な罰というのもありません。
つまり皆、「やらなくても大して問題が起きない」と思っているので、
やらないのです。
しかし、運動をサボれば、
身体は衰え、疲れやすくなり、怪我や病気に繋がって、
いずれ身も心もボロボロになります。
勉強をサボれば、行きたい学校に行けず、
取りたい資格も取れないし、仕事も上手いかないし収入も上がらず、
周りに置いていかれる現状維持のつまらない人生になるでしょう。
今は良いかもしれませんが、
将来の自分が、体がボロボロで収入も少なく貧乏で、
生きる気力も楽しみもなく、
まるで罰を受けているかのように
人生を後悔して生きていたらどうでしょうか。
そんな人生を歩みたいとは誰も思いませんよね。
その「罰を受けたくない」という考えが、
悪い習慣への抑止力になり、
良い習慣を続けるための原動力にもなるのです。
また、一つ言える確かなことは、
今の習慣が将来の自分を形作るということです。
何故なら、今の自分は過去の習慣からできているからです。
太っているのは、過去にケーキやラーメンを食べる習慣のせい、
肝臓や肺を悪くしているのは、飲酒と喫煙の習慣のせい、
頭が悪いのは、勉強をしない習慣のせい、
お金がないのは無駄なことに散財してしまう習慣のせい、
自分が幸せじゃないのは、他人を幸せにしてこなかった習慣のせいです。
今の自分が罰を受けているとしたら、
過去の自分の習慣のせいです。
誰に言われずとも、自分が一番よくわかっているはずです。
しかし、
タイムマシーンが出来ない限り、過去の自分を殴りに行くことはできません。
将来の罰を回避するために今できるのは、たった一つだけ。
将来に向けて今の習慣を見直すことだけです。
今の習慣を続けることで、
将来どんな罰が待ち受けているでしょうか?
どんな報酬を得ることができるでしょうか?



次は2.簡略化をしてみよう!






